あなたは自然界に存在しない油をご存知ですか?
虫も寄り付かず、土に埋めても分解されない
そんな「食べるプラスチック」とも言われる油こそが
「トランス脂肪酸」なんです。
この記事では、そんなトランス脂肪酸について、健康への影響や
多く含まれている食品および日常での見分け方について詳しく解説していきます。
目次
トランス脂肪酸とは?
トランス脂肪酸は、油脂を構成する部品のようなものだと思ってください。
加えて、天然にはあまり存在せず、工業的に油脂を加工する際に生じる不自然な脂肪酸がトランス脂肪酸です。
常温で液体である油を固体にする過程や、食用植物油(サラダ油など)の脱臭の過程で発生します。
そして、この過程で生成されたトランス脂肪酸が、体に悪影響を及ぼすのです。
トランス脂肪酸の健康への影響
トランス脂肪酸が引き起こす健康リスク
トランス脂肪酸は、心血管系疾患のリスクを大幅に高めることが確認されています。
(参照:厚生労働省)
トランス脂肪酸を多く摂取すると、悪玉コレステロール(LDL)が増加し、善玉コレステロール(HDL)が減少します。
このバランスの崩れにより、動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中のリスクが高まるのです。
子供や高齢者など、特に健康に気をつけるべき人々にとって、トランス脂肪酸の摂取は注意が必要です。
日常的に食べる食品の成分表示を確認し、トランス脂肪酸をできるだけ避けることが推奨されます。
ほかの疾患への影響もあるってほんと?
トランス脂肪酸の摂取は、さまざまな疾患のリスクを高めることが知られています。まず、トランス脂肪酸は体内の炎症反応を促進します。
この慢性的な炎症は、2型糖尿病の発症リスクを増加させます。
糖尿病になると、血糖値のコントロールが難しくなり、長期的には心血管系疾患や腎臓病、視力障害などを引き起こす可能性があるのです。
さらに、トランス脂肪酸は肥満の原因にもなります。高カロリーで栄養価が低い食品に多く含まれているため、これらの食品を頻繁に摂取することで体重増加が進みやすくなります。
肥満は高血圧や脂質異常症など、他の健康問題を引き起こしやすくなります。
また、トランス脂肪酸の摂取が一部の癌(特に大腸癌)のリスクを高める可能性があるとも言われており、これらの健康リスクを避けるためにも、日常的にトランス脂肪酸の摂取を控え、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
トランス脂肪酸は少しなら大丈夫?
世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えることを推奨しています。
これは、1日に約2グラム以下に相当します。日本でも、健康的な食生活を維持するために、同様のガイドラインが推奨されています。
(参照:厚生労働省)
トランス脂肪酸を多く含む食品
加工食品の危険性
加工食品には、トランス脂肪酸が多く含まれていることが多く、健康に重大なリスクをもたらします。
特に、長期保存や風味の向上を目的として、植物油に水素を添加するプロセスで生成されるトランス脂肪酸は、加工食品に多く使用されています。
これにより、クッキー、ケーキ、スナック菓子、冷凍食品など、多くの加工食品にトランス脂肪酸が含まれているのです。
以下ではその主な食品群の例をご紹介いたします。
- 市販のお菓子やスナック
- ファストフード
- マーガリンやショートニング
- 冷凍食品やインスタント食品
トランス脂肪酸を避けるためにはどうしたらいいの?
食品ラベルの見方
食品ラベルは、トランス脂肪酸を含む食品を避ける上で重要な情報源です。
まず成分表を確認しましょう。
トランス脂肪酸は、一般的に「植物性油脂」「部分的に水素添加された油脂」「加工脂肪」などの表記で示されます。
また、食品の原材料リストをチェックし、ショートニングなどの言葉にも注意しましょう。
次に、栄養成分表示を見てみましょう。
トランス脂肪酸の含有量は、1食品あたりのグラム数で表示されます。
避けるべき目安としては、トランス脂肪酸が含まれていないか、含有量が極めて少ないことを目指しましょう。
食品ラベルを理解することで、トランス脂肪酸を含む食品を避けやすくなります。
これにより、健康リスクを減らし、より健康的な食生活が実現できるでしょう。
自宅での調理方法
自宅での調理は、トランス脂肪酸の摂取をコントロールするための効果的な方法です。
まず、健康的な油脂を選びましょう。
オリーブオイルやアボカドオイルなど、トランス脂肪酸を含まない油脂を使用することが大切です。これらの油脂は、高温調理にも適しています。
また、加工食品やファストフードの代わりに、自然な食材を使った料理を心がけましょう。
新鮮な野菜や果物、魚、鶏肉などをバランスよく取り入れることで、栄養バランスの良い食事を準備することができます。
加工食品や外食を控え、自宅で手作りの食事を楽しむことで、トランス脂肪酸の摂取を最小限に抑えることができます。
さらに、調理方法も重要です。
揚げ物よりも蒸したり、焼いたりする調理法を選ぶことで、油脂の摂取量を減らすことができます。
また、食材の皮をむかない、余分な脂肪を取り除くなど、工夫をすることも大切です。
自宅での調理は、健康的な食生活を実現するための鍵です。
適切な油脂や食材の選択、調理方法の工夫をすることで、トランス脂肪酸の摂取を減らし、健康を守ることができます。
外食時の注意点
外食時には、トランス脂肪酸の摂取量に注意することが重要です。
メニューを選ぶ際には、揚げ物や加工食品など、トランス脂肪酸を多く含む料理を避けるよう心がけましょう。
代わりに、焼き物や蒸し物など、低脂肪で健康的な料理を優先しましょう。
また、食事の調理法や具材を選ぶ際にも注意が必要です。
ドレッシングやソース、調味料にもトランス脂肪酸が含まれる場合があるため、できるだけ自然な味付けを選びましょう。
また、野菜や魚介類など、新鮮な食材を使った料理を選ぶことも大切です。
さらに、食事の量にも注意を払うことも大切です。
大量の揚げ物やデザートは、トランス脂肪酸の摂取を増やすだけでなく、カロリーも高くなります。
適度な量を食べることで、健康を守りながら外食を楽しむことができます。
外食時の注意点を意識することで、トランス脂肪酸の摂取量をコントロールし、健康的な食生活を実現することができます。
トランス脂肪酸の規制と法律
日本における規制状況
日本では、トランス脂肪酸の摂取量を制限する規制が進行中です。
厚生労働省は、食品業界に対し、トランス脂肪酸を含む食品の表示や規制に関するガイドラインを策定しています。
これにより、食品メーカーはトランス脂肪酸の含有量を把握し、消費者に適切な情報提供を行うことが求められています。
また、食品表示法の改正により、トランス脂肪酸の表示が義務化されました。
食品の成分表示には、トランス脂肪酸の含有量が記載されるようになり、消費者はより正確な情報を得ることができるようになりました。
さらに、食品業界ではトランス脂肪酸の削減に向けた取り組みが進んでおり、低トランス脂肪酸の製品が増えつつあります。
日本の規制状況は、トランス脂肪酸が健康に与える影響を考慮し、消費者の健康を守るための取り組みが進んでいます。
これにより、トランス脂肪酸の摂取量が制限され、健康リスクが低減されることが期待されています。
海外の規制事例
海外では、トランス脂肪酸を含む食品の規制が広く行われています。
例えば、アメリカでは、トランス脂肪酸を含む食品の表示が義務付けられ、2018年にはトランス脂肪酸の使用を禁止する法律が施行されました。
これにより、食品メーカーはトランス脂肪酸の使用を減らし、消費者は健康的な選択がしやすくなりました。
また、ヨーロッパ諸国でもトランス脂肪酸の使用を制限する法律が導入されています。
デンマークでは2004年にトランス脂肪酸の使用が禁止され、他のヨーロッパ諸国も同様の規制を導入しています。
これにより、トランス脂肪酸を含む食品の摂取量が減少し、心臓病や動脈硬化のリスクが低減されています。
海外の規制事例は、トランス脂肪酸が健康に及ぼす悪影響に対する取り組みの一環として重要です。
これらの規制は、消費者の健康を守るための効果的な手段として、世界各国で注目されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
トラス脂肪酸がいかに恐ろしいかをご理解いただけたと思います。
トランス脂肪酸について重要なポイントをまとめてみました!
- 健康へのリスクが非常に高い
- トランス脂肪酸を多く含む食品はなるべく避ける
- 自宅では蒸す・焼く・茹でるなどの調理法を積極的に利用する
- なぜ海外では使用規制が厳しいのかを今一度考えてみる
揚げ物は満足度も良く、好きな人も多いかと思います。
しかし、食べ過ぎは体を壊しかねませんのでほどほどに…