タンパク質は、人間が生きるうえで欠かせない三大栄養素のひとつ。
普段の食生活でも摂りたい栄養素ですが、「ダイエット中はタンパク質を積極的に摂るべき」と聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、具体的に
「なぜタンパク質を多く摂る必要があるのか」
「どのくらいタンパク質を摂るべきなのか」
と聞かれると、正しく説明するのは難しいですよね。
そこで、日々客観的にダイエット情報を研究している調理師が、タンパク質とダイエットについて徹底調査。
この記事では、
- ダイエット中にタンパク質を摂るべき理由
- 一日に摂りたいタンパク質量
- おすすめのタンパク質食材
を解説します。
最後まで読めば、どうしてダイエット中にタンパク質を摂ったほうが良いのかがわかり、ダイエットに効果的な食生活を実現できますよ。
目次
ダイエットにタンパク質が必要な理由は?
「ダイエット中は積極的にタンパク質を摂るとよい」といわれている理由は、主に以下の3つが考えられます。
- 今の食生活にタンパク質が足りていない
- 筋肉の減少と基礎代謝量の低下を抑えられる
- 満腹感が続きやすい
それぞれの理由を、もう少し掘り下げてみましょう。
今の食生活にタンパク質が足りていない
ダイエット中、タンパク質を積極的に摂るとよい理由として、そもそも今の食生活にタンパク質が足りていない可能性があげられます。
タンパク質は、筋肉や肌といった体のあらゆる部分の素となる成分。
不足すると免疫力が低下したり、集中力が続かなくなったりします。
実際に、厚生労働省が示している三大栄養素の理想的なバランスは以下のとおりです。
- タンパク質:13〜20%
- 脂質:20〜30%
- 炭水化物:50〜65%
例えば「朝はパン、昼はパスタ、夜はサラダ」といったメニューが多いと、タンパク質を十分に摂取できていない可能性も。
また、上記のバランスは「生活習慣病の発症予防及び重症化予防を目的」に定められている数値です。
ダイエット目的の場合は、一般的に『タンパク質20%:脂質20〜25%:炭水化物55〜60%*』程度のバランスが推奨されています。
(※参考:食事管理アプリ「あすけん」-【あす筋ボディメイクコース】の「あすけん推奨値」)
一度普段の食生活を見直して、タンパク質の摂取量が十分かどうか、チェックしてみましょう。
(※ なお糖質制限でダイエットをすすめていく場合は、上記バランスよりも炭水化物の比率を減らし、タンパク質と脂質の割合を増やしましょう)
筋肉の減少と基礎代謝量の低下を抑えられる
人の身体は、日々筋肉の分解と合成を繰り返しています。
タンパク質は筋肉を合成するとき、材料となる大切な栄養素です。
ダイエット中にタンパク質が不足すると、筋肉が十分に合成されず、徐々に筋肉量が減少。
筋肉量が減れば、生命活動を最低限維持するために必要な「基礎代謝」で消費するエネルギーも減ってしまいます。
ダイエットでは「摂取カロリー<消費カロリー」の状態をキープするのが基本です。
消費カロリーを増やすためには、生きているだけで消費できるカロリー(基礎代謝量)をできるだけ減らしたくありません。
タンパク質をしっかり摂ると筋肉量を維持しやすくなるため、基礎代謝量も減りにくくなります。
その結果、ダイエットを効率的かつ失敗しにくいように進められるんです。
満腹感が続きやすい
空腹感に負けてしまいがちなダイエットにおいて、タンパク質は強い味方です。
なぜならタンパク質は、炭水化物に比べて満腹感が続きやすいから。
タンパク質は炭水化物よりも消化吸収の速度が遅く、胃や小腸に長く留まるので、空腹を感じにくくなる特徴があります。
ダイエットの基本は食事の栄養バランスとカロリー管理。
食べ過ぎの状態が続いている方であれば、必然的に食事の量と内容を調整しなければなりません。
しかし、ただ食事量を減らすだけでは空腹を感じやすくなり、暴食につながってしまう恐れもあります。
タンパク質が十分に含まれた食事を摂れば、満腹感が続きやすく、おやつの食べ過ぎや暴食防止効果を期待できるんです。
良質なタンパク質とは?アミノ酸スコアについて
タンパク質は、健康的かつ効率的にダイエットを進めるうえで欠かせない栄養素です。
しかし大切なタンパク質の中にも、実は「良質なタンパク質」とそうでないタンパク質があることをご存じでしたか?
良質なタンパク質の判断基準は、体内で作り出せない“必須アミノ酸”がバランスよく含まれているかどうか。
具体的には、
- 含まれている必須アミノ酸の種類
- 各アミノ酸の含有量
で判断され、評価基準には「アミノ酸スコア」という数値が使われます。
例えばアミノ酸スコアが100であれば、そのタンパク質にはすべての必須アミノ酸がバランスよく、十分含まれているということです。
逆に必須アミノ酸が1種類でも含まれていなかったり、量が少なかったりすると、アミノ酸スコアは下がってしまいます。
なぜアミノ酸スコアが重要なのか
アミノ酸スコアが重要な理由は、必須アミノ酸が筋肉を合成するときの条件が関係しています。
必須アミノ酸9種類をそれぞれ1枚の板に見立てて、木桶を作ったとしましょう。
すべての板の長さ(=必須アミノ酸の量)が揃っていれば、木桶により多くの水(=タンパク質)をためられます。
しかし1枚でも板の長さが短いと、木桶には短い板の長さまでしか水がたまりません。
筋肉の合成も同じことで、必須アミノ酸の量が1種類でも不足していると、タンパク質を十分に生成できないんです。
つまり、高アミノ酸スコアのタンパク質を摂れば、より多くのアミノ酸がタンパク質の生成に使われるということ。
したがって、筋肉の維持を目的にタンパク質を摂るならば、アミノ酸スコアの高さに注目する必要があります。
良質なタンパク質が豊富な食材とは?
良質なタンパク質を含む食材とは、アミノ酸スコアが100もしくは100に近い食材のことを指します。
以下に、代表的な食材ごとのアミノ酸スコアをまとめました。
【肉類】 | アミノ酸スコア |
鶏肉 | 100 |
豚肉 | 100 |
牛肉 | 100 |
ベーコン | 95 |
ウインナー | 100 |
【卵・乳製品類】 | アミノ酸スコア |
鶏卵 | 100 |
牛乳 | 100 |
ヨーグルト | 100 |
プロセスチーズ | 91 |
【魚介類】 | アミノ酸スコア |
アジ | 100 |
カツオ | 100 |
鮭 | 100 |
サバ | 100 |
マグロ | 100 |
帆立 | 71 |
あさり | 81 |
えび | 74 |
イカ | 71 |
タコ | 71 |
【穀類・豆類】 | アミノ酸スコア |
精白米 | 65 |
食パン | 44 |
うどん(生) | 41 |
そば | 65 |
枝豆 | 92 |
納豆 | 86 |
肉や卵・乳製品、魚のほとんどはアミノ酸スコアが100あります。
一方、高タンパク・低脂質食材の代表格であるえびやイカ、タコはアミノ酸スコアが71〜74。
アミノ酸スコアが食材の絶対的な評価ではありませんが、毎食1〜2種類は良質なタンパク質を摂ったほうがよいそうです。
食材を選ぶときは、ぜひアミノ酸スコアにも注目してみましょう。
より効果を出すために!タンパク質と一緒に摂った方が良い成分とは?
ダイエットによい栄養素である「タンパク質」は、ほかの栄養素と組み合わせると体の中で効率的に使われます。
タンパク質に組み合わせるおすすめの成分は、ビタミンB群。
特にビタミンB6は、タンパク質の代謝を助けてくれる成分です。
一般的には腸内細菌で合成される量で足りていますが、タンパク質を多めに摂っている場合、積極的に取り入れるのもよいでしょう。
ビタミンB6が多く含まれている食べ物は以下のとおりです。
食材名 | ビタミンB6含有量(100gあたり) |
みなみまぐろ(赤身) | 1.08mg |
びんながまぐろ | 0.94mg |
牛レバー | 0.89mg |
豚ひれ肉(焼き) | 0.76mg |
かつお | 0.76mg |
鶏むね肉 | 0.66mg |
表にあるとおり、ビタミンB6が豊富な食材はタンパク質も豊富。
時々意識して、上記食材を献立に取り入れてみてください。
まとめ
ダイエット中は以下3つの理由から、タンパク質を積極的に摂り入れるのがおすすめです。
- 今の食生活にタンパク質が足りていない可能性がある
- 筋肉の減少と基礎代謝量の低下を抑えられる
- 満腹感が続きやすい
また肉や魚、卵など、アミノ酸スコアが100に近い良質なタンパク質を選ぶと、より多くのアミノ酸が筋肉の合成に使われます。
鉄分や良質な脂質などの栄養素も考慮しながら、質の高いタンパク質を摂取して、健康的かつきれいにダイエットしていきましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!